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原状回復 東京

東京では賃貸住宅の原状回復に関するトラブルを防止するためのガイドラインを公開しています。
特別な事情がある場合、貸主、借主双方合意の特例を設ける事も可能です。
http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/juutaku_seisaku/tintai/310-9-jyuutaku.pdf 
こちらは東京都が用意している資料ですが、
詳しく解説してありますので、そのままプリントして入居者へ渡すのも良いかと思います。
トラブルはその都度解決するよりも、未然に防ぐことが、とても重要です。
入居者とのトラブルが発展して、結果、大きな費用負担を強いられる例も良く聞かれます。
住居を提供するという賃貸経営は社会貢献事業だと考えます。
せっかくの社会貢献がトラブルを呼び込んでしまう嫌なサイクルは早めに断ち切りましょう。
事前に入居者へ解りやすく説明する事で多くのトラブルを防ぐことができます。

原状回復の基本

入居者の退去時には原状回復が必要となります。
借主に義務として課されている原状回復とは、借主の故意や過失
通常の使用方法に反した結果生じた住宅の損耗やキズ等を復旧することです。
その復旧(原状回復)に必要な費用は、原則、借主の負担です。
経年変化及び通常の使用による損耗・キズ等の復旧は、貸主が行います。
貸主と借主の合意により、上記の原則と異なる特約を定めることができます。
しかし、通常の原状回復義務を超えた負担を借主に課す特約は、
内容によっては無効とされることがあります。
(何でもかんでも借主負担にする事はできません)

原状回復とは

借りていた部屋を退去する時に、故意や過失、通常ではない使用によって生じた損耗やキズなどを
復旧することです。
レンタカーを借りた場合、
走行することによってタイヤのすり減りやブレーキの摩耗、エンジンオイルの汚れが生じますが
これらを請求される事はありません。
しかし、車を擦ってしまった場合は、その修理費用を請求されます。
賃貸物件の原状回復もこのように考えるべきと言われています。

借主の善管注意義務

物件を借りた借主には善良なる管理者としての注意義務は発生します。
一般的に善管注意義務と呼ばれます。
例えば、台所に水をこぼし、そのまま放置して台所まわりでカビやサビが発生してしまった場合
水をこぼしたのに拭かなかった(管理者の注意義務を果たさなかった)事が原因ですから
入居者は、清掃や修理、修繕の費用を負担しなくてはいけません。
しかし、負担する割合は経年劣化分を差し引いた額になります。
逆に、システムキッチンに改装する費用はグレードアップに相当しますので
その費用を求めることはできません。
グレードアップとは、物件の価値を高める事が判断基準になります。

原状回復 東京都整備局のガイドライン

東京都のガイドラインを参考に原状回復に掛かる費用の負担区分をまとめました。
基本的に借主向けに作成された文章なので、一見、借主を優遇しているようにも読めますが
全ての文章に条件があり、当たり前の清掃や、当たり前の注意が前提。
(借主の善管注意義務が遂行されている事が前提条件です)

床の原状回復

畳の裏返し、表替え(破損がなく、次の入居者確保のために行うもの)→貸主の負担
理由 入居者入れ替わりによる物件の維持管理上の問題であり、貸主の負担とすることが妥当と
考えられる。

畳の変色(日照・建物構造欠陥による雨漏りなどで発生したもの) →貸主の負担
理由 日照は通常の生活で避けられないものであり、また、構造上の欠陥は、借主には責任はないと
考えられる。
(借主が通知義務を怠った場合を除く)

フローリングのワックスがけ→貸主の負担
ワックスがけは通常の生活において必ず行うとまでは言い切れず、物件の維持管理の意味合いが
強いことから、貸主負担とすることが妥当と考えられる。

フローリングの色落ち(日照・建物構造欠陥による雨漏りなどで発生したもの)→貸主の負担
日照は通常の生活で避けられないものであり、また、構造上の欠陥は、借主には責任はないと
考えられる。(借主が通知義務を怠った場合を除く)

フローリングの色落ち(借主の不注意で雨が吹き込んだことなどによるもの) →借主の負担
借主の善管注意義務違反に該当する場合が多いと考えられる。

キャスター付きのイス等によるフローリングのキズ、へこみ→借主の負担
キャスターの転がりによるキズ等の発生は通常予測されることで、借主としてはその使用にあたって
十分な注意を払う必要があり、発生させた場合は借主の善管注意義務違反に該当する場合が多いと
考えられる。

家具の設置による床、カーペットのへこみ、設置跡→貸主の負担
家具保有数が多いという我が国の実状に鑑み、その設置は必然的なものであり、
設置したことだけによるへこみ、跡は通常の使用による損耗ととらえるのが妥当と考えられる。

カーペットに飲み物等をこぼしたことによるシミ、カビ→借主の負担
飲み物等をこぼすこと自体は通常の生活の範囲と考えられるが、その後の手入れ不足等で
生じたシミ・カビの除去は、借主の負担により実施するのが妥当と考えられる。

冷蔵庫下のサビ跡(畳・フローリングも同様) →借主の負担
冷蔵庫に発生したサビが床に付着しても、拭き掃除で除去できる程度であれば、
通常の生活の範囲と考えられるが、
そのサビを放置し、床に汚損等の損害を与えることは、借主の善管注意義務違反に
該当する場合が多いと考えられる。

引越作業で生じたひっかきキズ(畳・フローリングも同様) →借主の負担
借主の善管注意義務違反または過失に該当する場合が多いと考えられる。

壁・天井

テレビ、冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ(いわゆる電気ヤケ) →貸主の負担
テレビ、冷蔵庫は通常一般的な生活をしていくうえで必需品であり、その使用による電気ヤケは
通常の使用ととらえるのが妥当と考えられる。

エアコン(借主所有)設置による壁のビス穴、跡→貸主の負担
エアコンについても、テレビ等と同様一般的な生活をしていくうえで必需品になってきており、
その設置によって生じたビス穴等は通常の損耗と考えられる。

クロスの変色(日照などの自然現象によるもの) →貸主の負担
畳等の変色と同様、日照は通常の生活で避けられないものであると考えられる。

壁に貼ったポスターや絵画の跡→貸主の負担
壁にポスター等を貼ることによって生じるクロス等の変色は、
主に日照などの自然現象によるもので、通常の生活による損耗の範囲であると考えられる。

壁等の画鋲、ピン等の穴(下地ボードの張替えは不要な程度のもの) →貸主の負担
ポスターやカレンダー等の掲示は、通常の生活において行われる範疇のものであり、
そのために使用した画鋲、ピン等の穴は、通常の損耗と考えられる。

壁等のくぎ穴、ネジ穴
(重量物を掛けるためにあけたもので、下地ボードの張替えが必要な程度のもの)→借主の負担
重量物の掲示等のためのくぎ、ネジ穴は、画鋲等のものに比べて深く、範囲も広いため、
通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いと考えられる。

タバコのヤニ(線引が曖昧です)
貸主の負担区分
喫煙自体は用法違反、善管注意義務違反にあたらず、クリーニングで除去できる程度の
ヤニについては、通常の損耗の範囲であると考えられる。

借主の負担区分
通常のクリーニングでは除去できない程度のヤニは、もはや通常損耗とはいえず、その場合は
借主のその後の手入れ等管理が悪く発生、拡大したと考えられる。

クーラー(借主所有)から水漏れし、放置したため壁が腐食→借主の負担
クーラーの保守は所有者(この場合借主)が実施すべきであり、それを怠った結果、
壁等を腐食させた場合には、善管注意義務違反と判断されることが多いと考えられる。

クーラー(貸主所有)から水漏れし、借主が放置したため壁が腐食→借主の負担
クーラーの保守は所有者(この場合貸主)が実施すべきものであるが、水漏れを放置したり、
その後の手入れを怠った場合は、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いと考えられる。

結露を放置したことにより拡大したカビ、シミ→借主の負担
結露は建物の構造上の問題であることが多いが、借主が結露が発生しているにもかかわらず、
貸主に通知もせず、かつ、拭き取るなどの手入れを怠り、壁等を腐食させた場合には、
通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いと考えられる。

台所の油汚れ→借主の負担
使用後の手入れが悪く、ススや油が付着している場合は、通常の使用による損耗を超えるものと
判断されることが多いと考えられる。

天井に直接つけた照明器具の跡→借主の負担
あらかじめ設置された照明器具用コンセントを使用しなかった場合には、通常の使用による損耗を
超えると判断されることが多いと考えられる。

建具・柱

地震で破損したガラス→貸主の負担
自然災害による損傷であり、借主には責任はないと考えられる。

網入りガラスの亀裂(構造により自然に発生したもの) →貸主の負担
ガラスの加工処理の問題で、亀裂が自然に発生した場合は、借主には責任はないと考えられる。

飼育ペットによる柱等のキズ→借主の負担
特に、共同住宅におけるペット飼育は未だ一般的ではなく、ペットの躾の問題でもあり、
借主負担と判断される場合が多いと考えられる。

網戸の張替え(破損していない事が前提) →貸主の負担
入居者の入れ替わりによる物件の維持管理上の問題であり、貸主の負担とすることが妥当と考えられる。

設備・その他

設備機器の故障、使用不能(機器の耐用年限到来のもの) →貸主の負担
経年劣化による自然損耗であり、借主に責任はないと考えられる。

浴槽、風呂釜等の取替え(破損していない事が前提)→貸主の負担
物件の維持管理上の問題であり、貸主負担とするのが妥当と考えられる。

日常の不適切な手入れもしくは用法違反による設備の毀損→借主の負担
借主の善管注意義務違反に該当すると判断されることが多いと考えられる。

鍵の取替え(破損、鍵紛失のない場合)→貸主の負担
入居者の入れ替わりによる物件管理上の問題であり、貸主の負担とすることが妥当と考えられる。

消毒(台所、トイレ)→貸主の負担
消毒は、日常の清掃と異なり、借主の管理の範囲を超えているので、
貸主負担とすることが妥当と考えられる。

ガスコンロ置き場、換気扇等の油汚れ、すす→借主の負担
使用期間中に、その清掃・手入れを怠った結果汚損が生じた場合は、借主の善管注意義務違反に
該当すると判断されることが多いと考えられる。

風呂、トイレ、洗面台の水垢、カビ等→借主の負担
使用期間中に、その清掃・手入れを怠った結果汚損が生じた場合は、借主の善管注意義務違反に
該当すると判断されることが多いと考えられる。

以上、原状回復に関する東京のガイドラインより。

事前に書面で約束するのもアリ?

壁紙(クロス)、床(フローリング、畳)、喫煙の有無、鍵、ルームクリーニングは必ずチェックされ
入居者に負担してもらう事が多いと思います。
これらは、ある程度の金額が予め決まっていますので、事前に覚書を交わす事も有効です。
・室内で喫煙される方は退去時にルームクリーニングが必要です。
 ルームクリーニング(約○万円)エアコンクリーニング(約○万円)
・鍵をなくされた場合は交換します。
 鍵交換費用は(約○万円)
・キャスター付きの椅子を使用される場合は床の修繕を行います。
 軽いキズの場合(約○万円)、修理が必要な場合(約○万円)
このように、説明する為の書面にチェックしてもらうだけでもトラブルは回避できます。
ポイントは、法的根拠の話ではなく、双方が納得できる約束である事が重要だと思います。
常識のある方なら、『これ、入居の時に説明してますよ』と用紙を見せれば、何も言えなくなります。

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